(4)法定相続人でも相続人になれなくなる場合

法定相続人であっても相続人になれなくなる場合があります。(1)相続欠格(2)相続廃除の二つの場合です。以下説明します。

1.相続欠格について参照:民法 第891条 次に掲げる者は、相続人となることができない。

故意に被相続人又は相続について先順位もしくは同順位にある者に対する殺人罪か殺人未遂罪で刑に処せられた者(つまり傷害致死罪で罰せられても相続欠格にはなりません。実刑ではなく執行猶予の場合も対象となりません。)
被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別(判断能力)がないときや殺害者が自己の配偶者もしくは直系血族であったときは除きます。
詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者
詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者
相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

2.相続廃除について

被相続人が、被相続人が相続人から虐待・重大な侮辱・その他著しい非行が合った場合に家庭裁判所に「推定相続人廃除調停・推定相続人廃除審判申立て」をすることにより推定相続人の持っている遺留分を含む相続権を剥奪する制度です(民法892条)。

「虐待」とは、被相続人の心身に重大な苦痛を与えることをいい、たとえ被相続人に日ごろから暴行や脅迫を繰り返すとかが考えられます。「重大な侮辱」とは、被相続人の名誉・自尊心を著しく害することをいいます。単なるからかいなどではなく人格を著しく傷つけるくらいの侮辱である必要があります。「著しい非行」とは、虐待や侮辱と同程度の重大な非行である必要があります。ギャンブル狂で家にお金をまったく入れないとか重大な犯罪を犯し刑罰に処せられたとかであり、たんなる素行不良は含みません。

東京高裁昭和35年の判決では『その他の著しい非行」も、それは被相続人に対するものであることを要し、単に素行不良であるとか、他人に対して非行をしたという如きことは、これを含まないものと解すべく、また、被相続人に対する非行であっても、それが被相続人が誘発したものであるとか、解すべきである。」と判示しています。

ただ実際は相続廃除が認められる事例はさほど多くないのが現状です。

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